新興国の景気減速が2017年3月期も企業業績の重荷となる。
コマツは27日、中国などで建設機械が落ち込み純利益が前期比33%減の920億円になりそうだと発表。
日立建機も連続減益。
新興国の需要減退で急落した資源価格に底入れの兆しは出てきたが、企業は慎重な姿勢を崩していない。
「建機の事業環境の回復は、向こう3年は見込めない」とコマツの大橋徹二社長は記者会見で考えを示した。
同社の前期決算は、純利益が1374億円と前の期比11%減少。
主因は中国での建機販売の不振。
都市開発の停滞で建機の需給が崩れ、11年3月期に3342億円あった中国での販売額は696億円に減少。
今期は610億円とさらに落ち込み、収益が阻まれる。
世界2位の経済大国で資源を大量に消費する中国の減速は、他の新興国経済にも大きな影響を与える。
新興国減速、企業業績に影 コマツ3割減
日立建機の前期は66%の最終減益。
今期も9%減の80億円と3期連続の減益が避けられない。
南米など資源国の開発需要が冷え込み、得意の鉱山機械の売上高は3年で半減。
桂山哲夫最高財務責任者は「原油安のあおりで、あてにしていた公共工事が出てこなくなった」と話している。
川崎重工業は東南アジアでの二輪車販売が低調で、今期の経常利益が690億円と26%減少。
太田和男CFOは「この数年の新興国ビジネスは計画倒れが続き、今期も上向く予想は立てられない」と話す。
これに円高が追い打ちをかける。川崎重工業の場合、対ドルで1円の円高が年間の経常利益を約25億円押し下げる。
今期の想定レートは1ドル=110円と前期より9円の円高で、200億円超の減益要因。
震源の中国は景気テコ入れに動き、交通インフラ整備に年2兆元(約34兆円)の財政出動をする方針を示した。
だがコマツの大橋社長によれば「現場の感覚では、あまり動きはない」。
コマツはコスト削減や建機の部品価格引き上げで苦境をしのぐ。
日立建機は今期に60億円の構造改革費用を見込んでおり、一段のリストラに踏み切るとみられる。